映画ダンケルクは駄作 

全くつまらない映画ダンケルク 
 映画ダンケルクを見たが、つまらないこと、おびただしい。
 まずこの映画では、今に伝わる、ダンケルク最大の見せ場である、一大撤退作戦のスケールの大きさが、全く描かれていない。

歴史を知るほどつまらない 

 1939年9月1日、ポーランドに対し、ナチスドイツの電撃侵攻が行われた(これで第2次大戦勃発)。
 ソ連もこの戦いに加わり、独ソによるポーランド割譲から半年間、ドイツの侵攻は止んで、これが世界大戦かと思わせるほど、激しい戦いは行われておらず、「奇妙な戦争」とか「まやかし戦争」と言われていた。
 ダンケルクはこの「休戦」状態を一変させた。1940年の春からの独軍のベネルクス三国侵攻作戦に対し、英仏軍が北部フランスに展開し、独と英仏軍の初めての本格的戦いとなった。
 しかしドイツ機甲化部隊とルフトバッフェ(独空軍)は、英仏軍を凌駕し、5月下旬になると、英仏軍をフランス北部の港町や海岸に追い詰めたのである。
 映画では、フランスに侵攻するドイツのことと、ドイツと戦う中心の英仏2国の状況が全く描かれてもいないし、説明(解説)もない(この撤退作戦後の6月27日パリは陥落する)。
 第2次大戦、終結(45年9月2日の日本降伏)から72年、更にこのダンケルクの戦いから77年後の今日、特に日本の観客は、欧州の戦いなどに関心のある者はごく少数だから、この映画をみても何が何だか分からないはずだ。
 さらにCG全盛の時代なのに、セコすぎる作りだし、ウオー、バトル、戦闘(コンバット)がどう凄く、むごたらしいものかも描かれていない。
 戦争映画でも、歴史の流れを追うだけでなく、人間性を描いたりするから、登場人物の思想や葛藤を描くことがあるが、この映画はそのところも極めて中途半端だ。
 映画作りとして、よく何でここで人が死ぬシーンを入れるのかと、疑問に思うところがあるが、この映画もそれだ。決定的安易なシーンを一つ紹介する。
 スピットファイアが空中戦で被弾し、ドーバー海峡に不時着水するが、案の定、コックピットのキャノピー(風防)が開かず溺水寸前となる。そこに主人公(ブリッジ・オブ・スパイでソ連スパイを演じたマーク・ライランス)の乗るクルーザーが、ボートフックでキャノピー を割って助けだすシーンなどは全く無駄だ。
 第一キャノピーが開かぬ原因が分からない(当時の戦闘機は落下傘降下するにも自分でキャノピーを明けて、脱出するのが各国共通。簡単に風防が開かねば、搭乗員は死んでしまう)。
 こんな事で、映画を盛り上げようとする、脚本、演出が駄目で、沢山のボートで撤退作戦を行ったのだから、ボートがすぐにパイロットを救助する方が、余程合点が行く。
 英米では特に、育成に時間の掛かる搭乗員を大事にしたから、コンバットレスキューとよばれる、救援体制が整っている(ここが日本とは大違いなのである)。
 要するに1本2抜け3俳優と言われる映画作りの基本の、第1の本-脚本が駄目で、本当の戦いを描こうという、気がない演出が、全てである。

軍用機ファンにも全く物足りない

 何より、画面に出てくる、英独どちらの空軍の飛行機が少なすぎる。どっちも一飛行小隊くらいの3,4機しか出てこない。何というセコさ、低予算映画か?。
 スピットファイアーやホーカーハリケーンの英戦闘機群、対するルフトバッフェ(独空軍)のハインケル爆撃機、メッサーシュミット、フォッケウルフ戦闘機などが、どのように出てくるか、と楽しみにしていたら、出てくるのは皆2,3機止まりなのである。
 史実はゲーリンクが独陸軍をおさえて、ダンケルクやカレーに追い詰めた、英仏軍数十万人をルフトバッフェ(独空軍)だけで、殲滅するとした。だから相当の爆撃機、急降下爆撃機(シュツーカ)そして護衛の戦闘機メッサーシュミットを出動させている。
 一方、数十師団分の軍隊を捕虜にも見殺しにもさせず、英に撤退させる一大作戦を、この年、総理になったチャーチルが行うのである。
 救助に向かった英仏欄の駆逐艦や数百隻の民間船を ルフトバッフェに撃沈されないために、新鋭機スピットファイアーを大量に発進させ、見事エアカバーを成功させたのである。
 だから撤退作戦中に大空中戦が、幾度も行われている。因みに本撤退作戦中の 9 日間で、イギリス軍機が 145 機、ドイツ軍機が 156 機撃墜されという表記もあるから、互いに、延べ出撃機数は千機を優に超えるだろう。
 それを、どちらも数機しか写さないのでは、まったくスペクタルになっておらず、アホらしくなった。

日本との関係

 ダンケルクの撤退作戦は1940年(紀元2500年)5月末だから、日本では名機とされる零式艦上戦闘機(ゼロ戦)が正式採用された年だ。
 この時期まだ連合国も、枢軸国(三国同盟は同年9月締結)も形成されていないが、列強は何処でも来たるべき大戦争に備えて、新鋭機を開発、量産していた時代である。
 スピット・ファイアーもドイツ軍の本格的英本土空爆(バトル・オブ・ブリテン)に備えて、密かに量産して、決戦秘密兵器として隠していたのだが、チャーチルはこの救出作戦の為に、エアカバーを構成するために大量出撃させた。これで救出軍艦を守り、英仏軍合計30数万の将兵を救助し、その後の戦争に多いに役立てたのである。
 映画では何隻かの戦闘艦艇や病院船まで撃沈されるシーンがあるが、これは史実に反するだろう。実際は英仏の駆逐艦が10隻ほど撃沈されている。
 また多くの民間ボート、漁船までを動員して救助となっているが、実質は高速を出せ、数百人を収容できる駆逐艦による撤退救助が中心である。日本だってガダルカナル島やキスカ島からの撤退では、やはり高速を出せる駆逐艦で、救出撤退をしている。
 しかし英国(チャーチル)は国民全体の士気を高めるために、国民に訴え、ドーバー海峡を渡れるクルーザーやボート、漁船を大動員して、浜から沖止まりする軍艦へのピストン輸送に使ったし、撃墜されたパイロットの救出などに当たった。
 そういうところも、よく描かれていない。
 とにかく作りがセコいのと、何が言いたいかわからない、戦争映画で、見る価値はない映画だった。
 以上、時間と金の無駄遣いしないために(参考にどうぞ)。
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by ichiyanagi25 | 2017-09-12 09:43

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