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横須賀市議会4万市民の願いを葬る


 報道通り原子力空母の横須賀母港化についての市民意志を表す住民投票条例は、2月8日の臨時市議会で賛成10対反対31の大差で否決されました。美術館建設同様、議員多数は民意を明らかにする事すら否定しました。
市長や過半の市議はなぜ原子力空母は
日本の平和のために必要との意見を堂々展開しなかったのか

 市長と過半の市議は日米安保条約堅持の考えをもっています。私も日米安保条約は否定しませんが、地位協定の不平等性や外交は不変ではないため堅持と言う立場には立ちません。
 蒲谷市長は沢田市長の後継として市長になるため、6年前に国から来て助役となりました。当時は既に小泉政権です。また一昨年の市長選時には当然、内閣や官邸から原子力空母の受け入れを「つつがなく行うように」と言われたと私は思っています。「嫌だ市民との約束通り通常型配備要求を徹底的に貫く」と言ったら、小泉さんのことです候補者を差し替えたでしょう。
 ならば市長は自らの思想信条から選挙時、原子力空母の配備は嫌などと言わず、堂々と「日本の安全と平和のために空母は必要で、今日の状況では通常型空母の継続配備はあり得ない。国とパイプをもつ私が安全性の担保を政府と掛け合うから原子力空母は大丈夫」と堂々と論議を展開し市民を説得すれば良かったのです。それは安保堅持派市議及び政権政党に属する市議にも言えます。
今一度全会一致の意見書を点検しよう
 2005年11月2日に臨時市議会を開いて政府・国会に提出した意見書には次のような文言があります。
 去る10月28日、日米両政府はキティホークの後継艦としてニミッツ級の原子力空母を配備する事で合意すると発表した。中略
 本市議会としても米上院軍事委員会における原子力空母の配備方針表明に対し、反対する旨の決議を行っており、こうした再三にわたる地元要請にかかわらず、突然発表された今回の合意は到底容認する事は出来ない。
 よって国におかれては市民感情はもとより、唯一の被爆国である我が国の国民の感情を十分くみ取り、原子力空母の配備合意を撤回するとともに、米政府に対し通常型空母の継続配備を求めるよう強く要望する。
提出先 内閣総理大臣 外務大臣、衆参議長ほか
主権者に対して不誠実では
 政権党の党に属する市議が当時の自民党総裁でもある小泉内閣総理大臣に向け、この様な意見書に賛成し、全会一致で採択したのです。この行為をどう思われますか?
 私は当時この意見書提出に不誠実さを感じたので、反対しようかと思いましたが、市民に真意が伝わらないであろうと思い、この時は唯一人、賛成討論をして「小泉総理がこの意見書に従うわけはない。総理は自らを選んでくれた横須賀市民に説明に来るべき」と発言しました。
 保守系市議からはかなりのヤジを浴びましたが、政権与党の議員、日米軍事同盟堅持を是とする市議達はなぜ政治家として、よって立つ信念で原子力空母配備容認論を堂々展開しなかったのでしょうか。一見市民要望を代弁するがごとく姿勢を見せてきて、結果は住民投票条例に反対したのです。このような態度は政治家として非情に不誠実と思います。

 なお今回の住民投票条例案への私の賛成討論全文を以下に掲載します。徹底的に蒲谷市長の不誠実さを糾弾する内容となっています。
07年臨時市議会賛成討論(全文)                  07,2/8
 通告に従いまして議案第1号に賛成の立場で以下討論を致します。
 2月5日市長の意見と質疑、2月7日の請求代表者の意見陳述及び同日午後の委員会質疑を聞いてきました。
 特に2月5日の本会議での市長の本件に対する意見表明について、またこれまでの原子力空母受け入れに対する市長対応について総括する意味でこの際、意見を述べます。
 市長は一貫して原子力空母配備に対する市民意志を表明する住民投票条例には否定的立場をとってきました。今回も、「とにかくしたくない」のだと問答無用とさえ感じさせる答弁を十分に聞きかせて頂きました。
 まず私は今日ここに至るまでの経過、対応について蒲谷市長は政治家として、とってはならないことをし続けてきたと思うので、それを以下指摘します。
 蒲谷市長は2005年6月に行われた市長選の選挙公約で原子力空母でなく通常型空母の継続配備を求めるとしました。他の3候補とこの点では温度差はあるものの、ほぼ一致してしまい争点はボケてしまいました。
 月日は失念しましたが、沢田前市長がキティホークの後継艦として通常型空母の配備を政府に要請した後のことですが、東京で著名な外交評論家の話しを聞く機会がありました。講演が終わった後その方と少し面識がありましたので、5分ほど話しをして頂くことが出来ました。
 その際私が自治官僚出身の横須賀市長がキティホークの後継空母について原子力空母ではなく通常型の継続配備を求めると言い出したのですが、実現可能ですかと問いました。
その方は「残存通常型空母の数とそれらの艦齢を指折り数えてみること、米海軍の方針、日米政府の了解事項をリアリスティックに考えればあり得ないでしょう」とのお答えでした。では官僚出身の現市長がそう言いだしたことはと聞くと、「実現しない事が分かる時点でどうするのでしょうね、幻想を振りまいたとの批判が出るんじゃないですか」との答えでした。
 私は蒲谷市長が市長選の選挙公約に通常型配備を求めるとした事を見聞きした時に、この評論家の言葉を思い出しました。市長の出自、国家官僚からまず助役になるためお出でになり市長選に立候補したことを申し上げているのですが、必ずや変節といいますか、転身を図るであろうと思っていました。
 故に一昨年の市長選時、私は美術館建設と空母配備が2大争点になると思いましたから蒲谷さんの支持はしませんでした。また市長に就任して1年もたたないうちに、あっさり受け入れに転じ、今や原子力空母は安全であると政府や米海軍の代弁までするような態度を見ると、私の見方は誤っていなかったと思っているところです。
 通常型空母の配備が叶わない事が原子力空母受け入れやむなしの理由ですが、これは2005年の選挙前に政府や米海軍に問い合わせれば同じ答えが返ってきたのではないのでしょうか。もしその時小泉政権が、さも通常型配備が可能であるようなことを言ったとすれば、完全に横須賀市民を騙したことになりますが、私は当時の小泉首相がそんな横須賀向けリップサービスをしなかったであろうと思っています。
 市長の政治信念として、安全保障政策では日米安保条約堅持論者であり、米空母の横須賀配備は日本の平和と安全のために必要と思われているはずです。それは今回を含め議会質疑で何度となく表明されております。また助役を務め、まして国家官僚であったのですから政府サイドの情報は他の3候補より断然確実に取れる立場にあったはずです。
 ならば市長選の前に情報を十分に取り、また米国にも行き、言われるところの空母搭載の原子炉の安全性やダメージコントロールを確かめ、同時に原子力空母配備に際し安全性の担保を日米政府および米海軍に求め、私はこれだけ担保してきたのだからとして、通常型空母の継続配備などと非現実的なことを、他の候補者と同じ様に言わずに、選挙戦に臨むべきだったと思います。
 そうすれば今回この条例制定を求めた約4万の市民はあなたに期待をせずにすんだのです。要するに争点隠しをして選挙に臨んだであろう事、その不誠実さを指摘したいのです。
 当選後の一連の行動、そして今回の態度は、少なくとも強い信念をもって通常艦配備を求めていなかったことを明確に示しています。港湾法の協議でも一切有効に使おうとしない事はまさに決定打とも言えます。始めからやる気のないことを、さもあるように言う事は政治家としてとるべきではありません。これでは選挙時、有権者は選ぶ基準を失います。政治不信を増長させます。
私も日米友好は必要であると思っております。軍事外交は国の専権事項であることも承知していますが、横須賀市に居住する主権者、少なくとも約4万の選挙権を持つ主権者が、日米政府や米海軍に対し、何割かの原子力空母配備反対がいるとの意志を示したいとしているのです。
 なぜ市民の願いを葬りたがるのか、又何を怖がっているのかと思うのです。私は今回署名集めの受任者となりまして百人を超す市民とお会いしました。
 この条例に期待する市民の意見は様々あります。請求代表者も言われるとおり原子力空母配備賛成の人でも市民意志を明確にするためこの条例は必要と思うのです。
 市民はよく見ています。何人かの方は「ここで住民投票をして反対しても市長に空母を止める権限はないですよね」と言われていました。美術館なら市長が止めると言えばとめられるが、国と国との約束は無理でしょうと何人かの方が言いつつ署名されました。その方々は横須賀市民として賛否を明確に示すためにと署名されたのです。
せめて市民意志を表すことくらい、何故認めないのかと強く思っています。
 私はこの四年間で美術館やソレイユの丘の監査請求など署名集めをしてきました。感触からいいまして、美術館建設の是非を問う住民投票なら建設反対が完全に上回るであろうが、今回の場合、受け入れやむを得ずの方が上回るであろうと思っています。
 一昨年の選挙で小泉議員を圧勝させたこともそうですが、小泉さんが政府決定した原子力空母配備に反対する方が、多いとは思われないのです。
 むしろ市長は安心して、この際、市民の意志がどこにあるか確かめられた方が良いではないと思っています。
 しかし市長にその考えはないことは、いま明確です。
もう一つ私から見れば予定の行動であるとしか思えないのですが、多くの市民から見ると変節と思われた、昨年6月の受け入れ止むなしを表明する時にとった行動も政治家としてとるべき態度では無かったと、この際申し上げておきます。
 政治家が当初言ってきたことと逆な選択をせねばならないことや、苦渋の選択を迫られる事はあります。なぜなら政治とは矛盾を解決する手段であるからです。しかしその重要あるいは苦渋の選択や方針転換をするときは「市民の意見を聞いてそうした」などと言う、責任転嫁の態度はとるべきではないと言うことです。
 今回のような重要な決断こそ、責任は私がとると明確な意志と信念によって行動すべきであり、その是非は選挙で問うのが政治の常道であります。一連の行動を見ると市長は政治家として市長職を務めている認識が余りに希薄とお見受けするのです。
 更に罪深いのは市民の意見を聞きつつと言いながら、結局今回のような4万市民の意見を一切無視していることです。自分に都合の良い市民の意見なら聞くが、反対の意見は聞く気がないのなら始めから、そんなことをすべきではありません。この点これからのこともありますから、十分肝に銘じて欲しいと思います。
 しかし今、この時点で問われているのは市長の態度よりも議会の態度です。
 地方自治の中で市議会の役割は、二元代表制により、まず市長の行動、政策を批判し監視することではないでしょうか。昨日の委員会評決で結論は見えたとはいえ、今日この本会議の場では私を含め受任者となった7名の議員にプラスして、何人の方がこの議案に賛成して頂けるのかが注目されています。
 そしてここに傍聴されている方々、そして今市議会の外におられる少なくとも四万余の市民は今一縷の思いを持ち、それを期待されております。
 市民の意志を表明する最後の機会であるこの議案に、同僚先輩議員に置かれては一人でも多くの方が賛成に回り、市民の希望を実現してくれる議会であることを示して頂くようお願いし、以上議案第一号の賛成討論とします。 end

by ichiyanagi25 | 2007-02-12 00:00

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