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一色な報道

マスコミ雑感 
 23,24日は全てのテレビはアカデミー賞の外国映画賞で「おくりびと」が受賞で一色となった。まさに地球温暖化報道のように洪水のごとく、一色であった。
これで再上映館も増え、DVDも鳴り物入りで発売され、経済活性の一助になると思えば、おめでたい。
 昨年秋この映画を見たが、観客もそれ程多くなく、佳作とは思うがもう一度見てみたい程の映画とも思わなかったしオスカー騒ぎでもその気は変わらない。
 誰でも体験する死をテーマに家庭の崩壊やそれぞれに人生がある事を気づかせてくれる映画である。ニューハーフの子供の死を男親がとまどいを振り切り「女であろうが男であろうが俺の子に違いはない」と言うセリフは一番感動的だった。脇役の山崎努の存在感はぴかいちだったが、主人公の妻役である広末涼子のリアリティの無さにガックリした。少女時代までは良いが大人になる程、成長を感じさせない、吉永小百合の2番手的な大根役者になる予感がした。
 またオスカー受賞で世界でこの映画を見る人も増えそうだが(原作本も注文殺到だそうである)、外国人が日本全国でこの様な納棺師が存在すると思ったら著しい文化の誤解を招く。齢59の私ですら、今まで横須賀で納棺師なるものを見たことはないし、子供の頃「湯灌」という言葉は聞いたがその頃既に寺で遺体を洗って着替えをさせるなんてところは見たことはない。
 映画では東北の酒田(庄内地方)となっているが、原作青木新門・著『納棺夫日記』は富山の話であり山形をモデルにしたシナリオなので原作者は映画化を拒否。タイトルを「おくりびと」にかえ映画化されたと解説にある。まあ酒田から事実と違うと抗議もないようだから富山でも山形でも納棺師は存在するのだろう。
 ところで日本映画の外国映画賞受賞は「宮本武蔵」 以来だそうである。しかし外国映画賞が出来た当時、日本では黒澤、小津安、木下恵介など優秀な映画監督やシナリオライターの映画が多かったのに受賞しなかったのは何故だったのだろう。
 あるブログに麻生をアメリカに招いた時期に受賞させたのは、オバマ政権の裏があるのではないかという観測があった。まさかと思うが全くの的はずれとは思えない。今回の訪米で死に体麻生が、ごっそりツケを負わされた可能性は強い。マスコミが何処まで報じるかだが、麻生総理を招いたのではなく「日本の総理」を招いたのだという解説はいくつかであった。政権交代後の民主も麻生に言っておいたことは引き継げと言うメッセージなのだという。死に体麻生の納棺師をアメリカが務めたとすれば合点がいく。
創価学会政治部代表テレビ出演
 昨日のテレビはおくりびとフィーバーで食傷したが、一夜明けて今朝のテレビで又驚き不快な気分になった。公明党党首が毎日系テレビのTBS朝ズバに出演しているのである。ところで80年代までは社会党は総評政治部と揶揄された。総評の力は今の連合より凄く社会党も野党第一党の存在感があったからである。今この種の比喩を用いるなら公明党が当たるだろう。公明党が創価学会政治部であることは国民あまねく知る所だが、マスコミを巧妙に支配している事は情報操作故、知る人は少ない(だから操作なのだが)。
 今や地上波テレビの歌番組やバラエティ番組では創価学会系のタレントの出演が如何に多いかが指摘されている。民放ラジオでは創価学会のコマーシャルも聞く。新聞各紙には広告も載るし、毎日新聞では特に印刷面で抑えられたことは前から指摘されている所だ。発行部数が極度に落ち込んでいる毎日新聞にすれば救世主的かもしれないがメディア支配の観点からすれば見逃せない重要なことだ。
テレビ新聞で定額給付金は究極の選挙資金になるとの報道や分析はほとんど無い。定額減税でなく納税していない子供、年寄りにまで「配る」のはまさにそこに狙いがあると思うのが政治の裏読みだろう。故に7月の都議選までには全国自治体で確実に2兆円が定額給付される。

# by ichiyanagi25 | 2009-02-25 11:30

新聞に出ない議運の結果

   怒らない定額給付金?自治事務
 交渉会派人数を戻すは纏まらず
 会派を組んでまず議運提案したのは少数意見の反映と言うことで、交渉会派の人数を3人に戻す提案をしたことを本欄で報告しました。我が会派の提案に賛成したのは唯一メリットのある共産(オブザーバー)だけで(その昔、社会党系会派に属していた人達も賛成せず)、年越し審査も意見の一致を見ず、20日の議運で審査終了となりました。少数意見を議会運営に反映させようとする議員が減ってきていることが気になりました。
 この交渉会派4人の論拠が「4常任委員会に委員を出せること」だというので、改正地方自治法が議案提出権を定数の12分の1にしたので、そこから反論しようとしましたが定数43を12で割ると3,58で四捨五入しても3人にならないので一応引き下がりました。
 私達は今、議員定数を6減して37人(1委員会9名×4+議長枠1)との提案しています。6人削減は既成会派に与える影響が大きいので次回選挙までの実現可能性は低いと思いますが定数2削減すれば3名交渉会派論が重きを増します。
 市人口も今や42万人、2年後は42万人を切る可能性もあります。人口減イコール定数削減ではありませんが、人口減少と議員歳費等から定数削減は避けられないでしょう。これらは議会制度検討会で引き続き論議されます。なお定数37人の根拠は少数精鋭化で議員のレベルアップを図ることにあります(個人的にはレベルの高い人を立候補者にする研修機関が必要と思います)。
 怒らないの
 もう一つ議運決定で新聞に出なかったこと。定額給付金給付事務を自治事務としたことは許せない旨の意見書を出そうと提案した所、積極的賛成したのはオブザーバーの共産のみでこれも審査終了になりました。
 民主党もこの点に関しては地方議会の「自主性に任せる」としており、地方で安易に自公と相乗りして首長与党になる弊害がでてフラついています。給付金も国会議員は貰わないが地方議員は自由だと。何をか況やです。
 本市議会には2名の民主議員がおり、本来この意見書は民主党議員が中心になって提案されるだろうと思っていました。しかし動く様子が見えないので、同じ会派の佐久間議員(民主党)らと相談し、自治体議員として許せないからと全員一致し当会派から提案したしだいです。
 また旧社会党系など分権派が所属する会派の動向を注目していましたが『論旨は分かるけど、各会派まとまらないから』との意見でした。この問題、自公はまず乗るわけはないし、自民党籍をもつ議員がいる新政会も多分賛成にはならないだろうと観測していたので、全会一致はありえず、「否決覚悟でも意見書を出すか」になれるかを期待していましたが・・・。
 今回議運で論議し私なりに感じたのは、地方分権をないがしろにする政府に、烈火のごとく怒っている人は少ないと言うこと。10年前の地域振興券のとき、強烈批判していた人も随分おとなしくなったとの感慨も持ちました。そしてもう一つ議員心理は「怨念と報復とジェラシー」だとした政治評論家森田実さんの指摘を思い出しました。
会派は許せぬで一致 
 当会派は定額給付金の支給事務について、自治事務としたことは地方分権の観点から許せないで一致しており、意見書を出さない場合の展開を含め反対の表現方法を複数考えています(今は明らかにしません)が、国からの押しつけに対しどの様な反対表現をするか対応が別れても良いと思っています。
 ところで「怨念と報復とジェラシー」からか?圧力をかけても会派結成となったので一部に私達を「寄せ集め」だ「バラバラ」だとこき下ろす向きもあるようです。私達は原戸籍が保守系と社会系とに別れていますが、今日そのような問いかけはナンセンスであり、是々非々を徹底して議会本来のチエックや提案機能を果たす事と、現状の議会運営に対する個々の思いから、出自など問わず結集となったのです。
 6年前の経験では「美術館建設に反対したい」といったらすぐに『会派をでろ』でしたから、その教訓を十分生かして、内心への介入や圧力、排除の論理はとりません。そして議院内閣制ではない地方議会、議員の有り様を闊達に示す事を念頭においています。

# by ichiyanagi25 | 2009-02-22 18:38

監査請求全面却下-行政訴訟へ

監査請求全面却下
-行政訴訟へ-
谷内家へのアドバイザー契約について

 11日に毎日を除いた各紙に住民監査請求却下の記事が出ました。
 ここでは主に新聞記事にならなかった所について報告します。
 沢田前市長と谷内家が結んだアドバイザー契約が実は密約の実質売買であるとの指摘は本欄でしてきました。また長女の森広美氏に25年もの長期にアドバイザー契約をする事はおかしく、更に現状は実質アドバーザー役をしていないのであるから、支出を止めよとの監査請求は全面却下となりました(2月7日代理人である弁護士の元に監査結果が送られてきました)。監査結果を受け10日午前、監査請求結果を請求人及び弁護士が記者会見し監査却下に伴い行政訴訟を起こす旨、発表しました。
 元来この監査委員会は行政の内部組織であり、代表監査は市長人事で議会が同意した人ですし、更に4人の監査委員のうち2名は蒲谷「与党」議員ですから、この結果は予測されていました。この監査は行政訴訟への手続きの一環でありますから、3月10日までに横浜地裁へ提訴となるでしょう。本市としては久方ぶりの行政訴訟となります(監査結果が届いてから30日以内が提訴期限)。
 ただし今回の監査結果では市長と教育委員会に以下の意見を述べています。優しい表現ですが「そろそろ見直したら」とも受け取れますので、以下全文を掲載します。
5,市長及び教育委員会への意見-全文 
 市に寄贈された作品等については、美術館アドバイザーである森広美氏が作品等の調査研究及び整理を行い美術館に移管することになっているが、未だに美術館に移管されてない作品等がある。これら作品等の移管に係わる年度計画がないので年度計画を策定し、早急に美術館へ移管されたい。
 また故谷内六郎氏全作品の展覧会を開館時から6年間に亘り24回開催する計画であるが、美術館アドバイザー業務については覚え書きの締結以降美術館の開館を経て作品等の整理も進んでいるので、寄贈された作品等の美術館への移管が完了した段階で、アドバイザーの必要性を精査し、業務内容及び報酬額等についての見直しを検討されたい。
 以上です。
 なおこの監査請求では覚え書き締結後10年たっても整理移管されたい内作品等(資料含む)が2千点以上あることが分かりました。要するに25年の契約を「有効」にする為、だらだらと「移管作業」をやっていると言うことでしょう。
 10年たってしかも開館後なんだから見直ししたらと内部監査でも言い出したので、この辺市長や教育長はどう捉え対応するかです。
 政治決断しない市長らトップ 
 昨年5月の調停から節目節目で市長、助役、そして教育長の意向を確認しました。勿論この話は非公式ですから記録は残っていませんが、市長以下幹部はいずれもこのアドバーザー契約は不快の念を禁じ得ないと言う事です。「一柳さんから市長助役に止めるように言って頂けませんかね」とも言われたこともあります。これには頭に来て「自分で言いなさいよ、美術館課長と二人で言って現場の意見としてさ」と言いましたが、役人は言いませんね。
 いずれにも政治決断を求めると、そこから先、言葉を濁して行動に移さないのです。政治決断できない人達の責任です。市民からの信託を受けて仕事しているとは言えません。特に市長の優柔不断ゆえ市民税が無駄に払われ、そして今度訴訟になると又ぞろ顧問弁護士に数十万の着手金を払うのです。市民の皆さん、このことを肝に銘じて市長選時の参考にして下さい。

# by ichiyanagi25 | 2009-02-14 21:36

郵政民営化見直しの本質を語れ

 郵政民営化見直しの本質を語れ
 麻生総理の発言や鳩山総務大臣のかんぽの宿に対する発言で、郵政民営化の見直しが浮上している。しかし与野党とも本音を明確にせず、また相も変わらぬマスコミも現象面だけ切り取って、報道を垂れ流すだけだ。そして麻生総理では駄目だとのレッテル貼り報道だけは確実に行っている。誰(勢力)の指示なのだろうか?。
麻生も鳩山も本音を隠して小泉にひれ伏し選挙に勝った負い目があるのは確かだろうが、雌伏3年して今の行動を取っているのなら、信念にもとづき分かり易い発言をすればよいのだ。
 今マスコミが流している状況をつなぎ合わせると、簡保、郵貯の350兆円とも言われる資産が、株の公開により米資本に郵貯株が買い占められ、我々国民が貯めた資産がアメリカに行ってしまうと言うことが事の本質ではないか。
 かんぽの宿売却の「出来レース」論は、小泉・竹中ラインに協力した政商宮内(オリックス)が安値でかんぽの宿を買うとの構図を、そうはさせじと麻生内閣(の一部)が待ったをかけたのではないか(この裏に誰がついているのかも知りたい所だ)。
 鳩山総務大臣を初め麻生総理もその対米従属構造を壊す為に動いているのなら国益にそい、国民の為になる。しかし本音は言わない。アメリカが怖くて言えないのだろう。
 政治家が言えないならジャーナリズムが国益の為に郵政民営化の本質を暴くしかないが、そうはならない不幸が日本にある。最も国民は本質は分からずとも、その結果が現状だから、国民は自民党を見限っているのだ。
 今日は紀元節、建国記念の日であるが、TBSの朝のワイドショウ「朝ズバ」では、「売国奴」竹中を出演させ麻生、鳩山批判をさせた。対米従属の司である竹中を建国の日に出すのは皮肉も良い所だ。このテレビ出演はアメリカと電通の意向が働いたのだろう。 もっともこの構図をテレビで発言したら政治評論家の森田実さん同様にテレビからは追放される。テレビに出る「評論」家風売文家達は一見正義の味方風だが実は権力の手先共か、または本当の事は常に小出しにしか語らず、本質の数歩手前で批判を辞めてしまうかで占められている。結果テレビ新聞しか見ない国民を騙すことになっている。
 11日のフジテレビではかんぽの宿たたき売りに郵政会社はメリルリンチにコンサル業をさせていた事を明らかにしていた。今頃ようやく郵政民営化の仕掛けの一部をばらしたに過ぎない。
 竹中をテレビに出すなら郵政民営化法に反対票を投じた小林興起のような人をテレビ出演させるべきだ。あの人は青札(反対票)掲げて投票したあと「こんなアメリカの為の法律を成立させるわけにはいかない」とテレビインタビューで述べ、最も強力な刺客、小池ゆり子を送られ葬られたのだ。
アメリカが怖くてものが言えないなら、郵政4分社化の問題、株の公開時期を見直すのは国民にこの様な不利益を負わさない為というロジックで構わないから、国民に分かり易く政治家もジャーナリズムも語るべきだ。
 政権交代しそうな民主党にはアメリカから相当な「アプローチ」既に始まっているのだろう。訪日するヒラリークリントンも小沢氏と会見するようだ。民主党もこの点ではあてにならないと見ている。そこで政権パートナーとなるであろう国民新党や社民党は明確に民営化の完全見直しを主張し、国民向けに規制緩和で本来公がになう事(建築確認申請など)を民に投げ捨てた、対米追従の小泉路線総決算を国民の前に明らかにして信を問うべきだと思う。
 

# by ichiyanagi25 | 2009-02-11 17:02

映画2題

映画2題 
黒澤映画 天国と地獄でネタバレ発見
中国映画 戦場のレクイエムを見て

 BS2で昨年放映された黒澤没後10企画をうけて昨日(2/2)から視聴者が選ぶアンコールベスト5が放映され出した。初回の昨日は5位の「天国と地獄」が放映された。
 この映画は13才(中1の春休み?)の時にみた覚えがある。監督や脚本で映画は決まる何て事を全然知らない年頃で見たが、とにかくリアルな迫力には圧倒された覚えがある。
 その後、何度か映画館やテレビ放映で本作品を見直して、黒澤さんのすごさを実感した。思うに「赤ひげ」までの黒澤さんの時代を見る洞察力と、その時代を切り取る力は卓越していた。また映画人として社会に何が出来るかを考えており、特に現代劇の本作や「生きる」「悪い奴ほどよく眠る」などは政治的にも優れていて、今でも通じる永遠の名作であろう。この映画も営利(略取)誘拐罪の軽さを問い(刑事たちの会話の中で黒澤の考えを主張)、まさにこの映画をきっかけに略取誘拐の重罰化(刑法の一部改正)に繋げたのである。
  ところでこの作品は夏の設定なのに10月からクランクインしたそうで、秋なのに黒澤さん一流の「入道雲の出具合が気に入らない」とかあって撮影班を困らせたそうだ。季節設定は黒澤さんの好きな暑い夏のさなか(「野良犬」も同様、又豪雨も好きだ)だが撮影は冬季行われたことも語りぐさとなっている。犯人役の山崎努さんが回顧番組で「黒澤さんは『暑い時に夏の撮影をすると(役者は)安心してしまう、寒い方が考えて演技をする』と言うけど、寒くてしようがないから、夏のシーンは夏に撮影して欲しいですよね」と語っていた。
 この映画は名作中の名作だから、いくつもの伝説的エピソードはあるがそれはさておき、昨日見ていて冬の撮影であることが分かるワンシーンを初めて見つけた。
 身代わり誘拐された運転手の息子が書いた富士山の絵は真っ黒に塗られていて、富士山に雪がないのかと思わせる所があるが、夏の設定だから黒い富士なのであり、これで観客を誘導している。しかし共犯であるヤク中患者の隠れ家を見つけるシーンで刑事役の木村功の背景には雪を頂いた富士山が映っていた。雪のつもり方から12月初旬にこのシーンは撮影したようだ。この作品はストーリー展開を含め緻密な構成で貫かれているが、ここだけは「悪魔のように細心」な黒澤さんも編集段階で見逃したのだろうか?。黒澤ファンの私として嬉しい発見であった。
 しかしラスト近くの伊勢佐木町のシーンが大勢のエキストラを含め出演者が全員「寒さこらえて」演技してして(しかし全くそう感じさせない)いたと思うと、改めて凄いエネルギーでつくられた映画だと感心させられる。山下公園で犯人を尾行する労務者姿で出る刑事役は冬なのに汚れたランニングシャツ1枚である。それもベンチに寝そべって犯人を監視してるのだからYシャツ姿で歩く山崎努より余程寒かったろう。
 またノンクレジットだが若き日の大滝秀次がセリフ無しで新聞記者を演じている(記者会見時の北村和夫の後にただ座っている-髪はある)。また常田富士雄がヤクの売人の元締役(のような)でステテコ、ちぢみのシャツ姿で黄金町麻薬街を今日は物はないと手を横に振りながら歩くシーンも印象的だし、禁断の街の中で菅井きんがヤク中役で黒スリップ一枚、ぼさぼさパーマネント頭で登場し、潜入しようとする私服刑事達に食ってかかるシーンも見物である。GE|f0165519_19554743.jpg|200902/03/19/|mid|1420|960#]映画2題_f0165519_195891.jpg

 この写真は昨年12月初旬日本平から写したもの。映画では腰越方面から見た富士であるが、これより少ない感じで雪を頂いていた。

戦場のレクイエム
  次いで神奈川新聞の記者から今や著名な映画評論家となった服部宏さんの映画評を読み、川崎東宝で公開中の中国映画「戦場のレクイエム」を見た感想。
 上映時間は配給会社の差か上映館の都合か午前1回とトレイトショウだけで、暇のない人は来なくても良いというような上映時間帯であるのが気に入らない。しかし映画自身はお薦めだ。
 この映画、中国映画とは思えぬ迫力ある戦闘シーンで、服部さんの「プライベートライアン」並との評価がうなずける。それもそのはず興行的に大成功した韓国映画の「ブラザーフッド」の監督が協力しているという。
 そして国民党軍との国共内戦を描いているのであるが、党が検閲したとは思えない映画でプロパガンダ色が一切無く、「娯楽映画」として国共内戦の戦争シーンのすさまじさを描き、そして洋の東西を超え「無名戦士」の悲劇とそれに対する国家権力の有り様を落ち着いたトーンで描いている。
 唯一人生き残った連隊長(日本で言えば中隊長位か)が、玉砕した部下の名誉回復の為に戦後も一人旧戦場をたどり遺体を探す。このへんビルマの竪琴にも似ているが戦没兵士の慰霊と「水島日本に帰ろう」でおわらず、独裁の共産党幹部への批判と何より建国の為に死んでいった兵士を評価しろと告発し、それだけを生き甲斐に遺体発掘と名誉回復を執拗に迫るのである。ここが日本人の感性と大きく違うなと感じた所だ。
国境内戦は日本敗退のあと直ぐに起こり、共産党の勝利により人民中国となり今年が建国60年目となる。今年10月(国慶節)には盛大に祝賀行事が行われるのだろう。
 当時日本は敗戦直後の混乱期で東京裁判で裁かれている時代だから、日本人は国共内戦の歴史は知っていても(但し若い人は殆ど知らないことだろう)その戦闘はどの様に行われていたのかは殆ど知らない。事実これまで日本では国共内戦時の戦闘の記録映像は殆ど放映されていない(フィルムも少ないと思われる)。また国共内戦時には双方に参戦した残留日本兵も少なからずいるが、それら兵士は旧敵兵でありまさに無名戦士で死に、無事復員してきた同胞も日中双方からその存在は忘れられ、戦後64年たち死に絶えていく。
 映画の最期は主人公の証言が証明され、彼の部隊で玉砕した全員の名誉が回復される所で終わり、観客を安心させる。人民解放軍を評価させる為にも、ラストシーンは「中国共産党及び解放軍は革命烈士を軽んじない」にしたようにも感じられた。実在の主人公の悲惨な生い立ちを示すテロップと激戦の中、無惨に死んだため、親からつけて貰い多くの人から呼ばれた名は消し飛び、遺体は無名戦士となる戦争の実態を考えさせられる内容となっている。
 歴史や政治に関心ある人は是非見て欲しい映画である。なお川崎東宝など上映館はネット検索でどうぞ。この種の映画は横須賀ではまず上映されない事も考えさせられる。

# by ichiyanagi25 | 2009-02-03 20:53