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原子力空母を巡る住民投票条例の行方


 いよいよ住民投票条例を審査する臨時市議会が来週5日から3日間開かれます。
 市民の直接請求による議案ですが、制度上議案提出者は市長となります。原子力空母の受け入れをスムーズに行うことが今期の最大の仕事であると思われる蒲谷市長にとって最も不本意な条例案でしょう。
 早速次のような市長の意見書が1月31日各議員に配布されました。議会でも自ら読み上げますが、まずはその要旨を報告します。
市長意見書要旨
 市民が権利として有する「直接請求」制度については尊重すべきと認識しているが、市町村合併のように自治体の意志によって決定できることは住民投票が有効な手段として考える。しかし安全保障に関する外交については憲法により国の役割と規定されており、地方自治体がこれに関与し又は制限するようなことは認められない。従ってそのような条例を制定することはできない。
 港湾協議については、市長は港湾法に則り適切に処理すべきであり、住民投票の結果をその事務に関し尊重するよう求めている条例は法に反する。
 原子力空母の配備は国が判断することであり、横須賀市が決定権を持たない問題について住民投票条例はなじまない。
 私は日本の安全保障を守る観点から通常型空母の配備の可能性がゼロであることをふまえ、配備をやむを得ないと昨年六月の議会で発言した。
 今後も市民の安全安心を第一に考え皆様のご支援を頂きながら国及び米国と協議を重ねて参ります。ご理解のほど宜しくお願い申し上げます。
異議あり
 ご理解の程宜しくお願いされませんので、以下私の意見を述べます。
 まず私は市長の考えと根本的に異なる考えをもち、直接請求する為の署名受任者となりました。
防衛、外交は国の重要専権事項であることは論をまちません。しかし日米安保条約による提供施設をもつ自治体に暮らし、原子力空母に心配する人、又他国の軍艦であり、圧倒的攻撃力を持つ空母の配備そのものに反対する人など市民は様々な考えをもっています。市民にとり重要な案件について主権者に意志を表明して貰う事は民主主義の原則と思います。
 市民の何割が配備反対か、また賛成かをこの際、投票によってハッキリさせ、その意志を日米政府に示し、必要な交渉を行うのが市長の努めであると思います。
 港湾協議についても仮に反対が過半数を制すると予測して法に反するとするなら、あまりに弱腰です。市長は意見書の後段で日米安保論者として原子力空母の配備やむなし論を展開しています。仮に反対票が多くても、自らの信念と法解釈の元に行動すればよいのです。そうなれば有権者は次の市長選挙で判断します。
 なおこの思想なら始めから「原子力空母の危険性は少ない、米海軍の空母保有状況から原子力空母は受け入れざるを得ない」と明確に主張すれば良かったと思います。市長選での公約は選挙戦術であったとしか思えません。これは小泉総理の下で活動してきた自民党にも言えることです。何故、よって立つ信念、政策によって行動しないのでしょうか。日和を見ているようで不快です。
 私は投票条例を可決しても小泉議員を圧勝させた横須賀の選挙民ですから、いざ投票になれば受け入れ賛成派の方が反対派より多いと思っています。それでも何割かの反対の市民がいることをこの際はっきり日米政府にしめし、市民の意志を表わせる保障をすべきとの立場です。
議会の態度
 大方の議員が市長「与党」を自認する横須賀市議会ですから、今回も圧倒的多数でこの直接請求を否決することでしょう。3年半前美術館に関する住民投票条例案を私達無所属4人で議員提案をしたときも否決しました。
 地方議会は議院内閣制で議員の中から市長を立てているわけではありません。市長と議員は同じ有権者が別々に選んでいるのです。まず議会は圧倒的権限をもつ市長をチエックする機関としての役割を期待されています。議会が常に市長と同じ判断をするなら地方議会は参議院以上に不要な機関となります。
また今回旧社会党系の議員がこの請求に対し、私ともう一人を除いて動きが鈍いどころか、反対しようとする態度に失望しています。少数意見に耳を貸すのが、社会党の存在意義であったはずです。こういう態度に投票条例制定運動をしてきた労働団体や関係者はどう対応するのでしょうか?
議員の動静をよく見て下さい
 ところで署名の受任者になっている私の所にも、どこかの動員運動か、何通もの要請が印刷のハガキで届いています。各議員に要請行動するのは結構ですが、その際はどの議員が署名の受任者になっているか、どの会派が、そしてどの議員が反対に回るのか、組織は明確に情報を出して欲しいと思います。又葉書を書く人は議員がどう行動しているかよく判断して宛名を書いて下さい。
 民意を反映しない議員と一緒にされるのはハッキリ言って不愉快です。私の所にハガキを送らないように願います。なお激励や連帯の挨拶なら喜んでお受けします。
 何れにしても来週8日には結果が出ます。署名の受任者になった7名(私達無所属3に共産2ネット1研政1の計7人)に+して何名の議員が賛成するのか、しっかり見届けて欲しいと思います。
 くれぐれも、議員の賛否をみてください。議員は賛成か反対かを議会で表すのが仕事です。会派の縛りとか組織を理由に言い訳する議員がいたら眉に唾して下さい。自らの基本認識を縛る会派になど、いない方が民意を議会で表せるからです。政党でもない議会内会派は多数決主義をとる議会において本来自分の政策を実現するために、便宜的に集まるだけのものです。4年前まで12年間会派に所属していたのでよく分かります。
 8日の夜にはテレビ、ラジオで翌日には各紙で大きく報道されると思いますが、マスコミが報道しない所などは又来週報告します。

by ichiyanagi25 | 2007-02-03 00:00

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