人気ブログランキング | 話題のタグを見る

■市民病院インフォームドコンセント不足で訴えられる


  3月8日市民病院に対する賠償請求訴訟が起こされました。 子宮体癌の検査が遅れ病状を漫然と進行させたこと、また癌について病状説明(いわゆる告知)が無く治療方針についても本人・家族に十分な説明がなく抗癌剤が投与された。インフォームドコンセントの不足および、それによりセカンドオピニオンの機会を奪ったとして遺族(夫娘)が合計2290万円(調査経費と弁護士費用含む)の損害賠償請求を起こしたわけです。
 市民病院にインフォームドコンセントとセカンドオピニオンの充実を求めてきた私としては市民病院に認識を新たにしてもらう為にもこの訴訟に注目したいと思います。
 なお医療過誤について現状では横須賀に限らず患者家族は損害賠償請求に訴えるしか救済手法がありません。
 亡くなくなった方は1941年に看護師資格を取得されています。数十年、看護職を努める中で様々な癌を見てこられたでしょう。病状説明が詳しくされないで抗ガン剤が投与され副作用が出たとき自分の病状に気づかれたと思います。これは辛かったであろうと推測されます。
 これまで数件の医療訴訟に関係してきましたが、日本人が訴訟に至るには相当な覚悟がいることです。裁判まで行くケースで共通しているのは、病院から相当に冷たい仕打ちをされた、嘘をつかれた、馬鹿にされた、です。例え医師が藪で治療技術が下手であっても真剣に臨んでいたり、またミスがあった場合でも誠実に謝れば訴訟まではいかないということです。医療訴訟を多く扱っている弁護士に聞くと相談にきて訴訟までいくのは5件に一つくらい、訴訟をあきらめる人の方が多いといいます。
 今回問われているのは治療ミスではなく説明不足とセカンドオピニオンの機会を奪ったことについてです。この患者さんが市民病院に行ったのが1999年ですからその当時インフォームドコンセントもセカンドオピニオンも市民病院としての取り組みはきわめて希薄であったことは自らの体験でもわかります。
 私もその「被害者」
 なぜかそれをいえるか、私自身ほぼ同様なことを市民病院から3年前の2001年春に受けたからです。
 2000年秋、議会互助会の人間ドックを市民病院で受け左腎臓(エコー検査)に腎癌の疑いあり精密検査が必要と通知されました。説明の際、精密検査や治療をどこで受けるかと聞かれました。そのとき「私も人の良い患者の一人」でしたので「市民病院で見つけてもらったのだからそちらにかかります」としました。間違いはこのときから始まりました。 CT、MRIの結果から直径2cmの癌が左腎臓にあるとのことでした。泌尿器の若造医師は配慮もなしにいきなり癌であることを告げました。中待合室の他の患者にも聞こえたはずです。初めての癌告知に私も動転しました。
 さてそれから詳しいインフォームドコンセントもなく(愚かにもこちらも求めず)「転移のおそれがあるので塞栓術をする」と主治医である巨漢のK医師から言われました。 議員の癌はまだタブー視されていましたので議会の間を縫って手術をすることになりましたが、転移を抑える治療を「先ずする」とのことでした。
 腎臓の塞栓術は太股の付け根からカテーテルを入れ腎臓に薬液を注入し癌を封じ込めます。後でわかりましたがこれは10年前の標準的治療であり今は大きな癌でない限り塞栓術はしないそうです。直径2cm以下の癌が急に飛ぶことはほとんどないとのことです。
 しかしそのときセカンドオピニオンをとらず任せたため3月議会が始まる前にその検査入院として塞栓術を受けましたが、腎臓が薬でつぶされるわけですから術後相当な痛みが走ります。しかしその晩の麻酔は座薬程度で何度もナースコールし夜中にやっと1本の麻酔注射を受けました。
  患者を痛がらせて平気な医者の治療はまともなのかとこのときから疑いを持ちはじめました。
 痛さ故か熱が出て肩こりもひどくなり頭痛がするといっても治療はありませんでした。しょうがないので院長に頼み脳外科に回してもらいましたが、これは気に召さなかったようです。疑いは益々湧いてきたので退院後HPで国立がんセンターにアクセスすると次の説明が目に入りました。
-(動脈塞栓術)があります。この方法は摘出が不可能な場合や、大きな腫瘍を摘出する場合、手術に先立ち施行されることがあります-と。
 僅か2cmの初期癌というのにやっている治療が矛盾する。ここで初めてセカンドオピニオンに気づきました。
 といっても当時の私には医療情報網が少なく誰にセカンドオピニオンを頼もうかと思っていたところ先輩議員から元横須賀共済病院泌尿器部長の里見先生の話を聞きました。
K医師セカンドオピニオンにキレる
 電話で里見先生にアポを入れると「セカンドオピニオンの普及のために開業したようなものなので5時頃資料を持ってきてください」とのことでした。セカンドオピニオンは資料の貸し出しを主治医に求めなければなりませんので主治医のK医師とあいました。
 そのときは市民病院での手術日も決まっていたので下でに出て「先生セカンドオピニオンについてどう思いますか」と切り出しました。K医師は「私もセカンドオピニオンについては理解している、何なら医師を紹介しよう」と゛親切゛に言ってくれます。後輩など紹介されてもしようがないので 「いや、セカンドオピニオン先は決めてあります」というと段々本性が出てきました。会いに行く前、抗ガン剤治療で有名な平岩正樹さんの本を読みセカンドオピニオンを求めた時次のような対応をする医者は避けた方がよいとの知識を得ていました。
曰く
・嫌みを言う
・もう診ないという
・要するにセカンドオピニオンをとろうとする患者にプレッシャーをかける(自分の藪がばれないように)。
 さて今度はこちらが問い始めるとK医師は平岩さんの指摘通りの展開になりました。だんだん声が大きくなるし私がメモを取るのを不愉快そうに睨みます。さらにHPの情報なんて真贋様々だとも言います。この時こう思いました「あんたの大学はどこよ!N大医学部?国立がんセンターのHPを批判するのはすごいプライドだね」。 どこの医師にいくのかと聞くので「答える必要はない思いますが」と、はぐらかしているとさらにしつこく、どこに行くのか聞くので「里見先生のところにいきますよ」というと、ここでK先生キレました。『ならば里見先生に手術をしてもらいなさいよ』と(この字のくらい)大声でいいます。
 決定打!これでこの医師への信頼は粉々に砕けました。正直「この野郎」と思い、これ以上は時間の無駄なので「では失礼します」というと「お大事に」も言わない。 席を蹴りたい思いで廊下に出ると、側でやりとり聞いていた看護師が追いかけてきました。看護師まで文句があるのかと顔を向けると「一柳さん済みません。うちのDrはまるで理解していなくて」と言ってくれます。有り難い理解者がいた。「いやーあなたの言葉を聞いて安心した、これから病院長に抗議にいく」と言いのこし一柳は・・・・・・・・。
 経過報告はこの辺でよいでしょう。要するに私が体験したように訴訟に当たる時期の市民病院医師のほとんどはインフォームドコンセント、セカンドオピニオンについての認識が薄いかまたは忌避していたといえますう(裁判でより明確になるでしょう)。
セカンドオピニオン結果-180度違う診断-
 里見先生から『このような小さな癌はすぐ転移するケースは少ない。塞栓術も急ぐ必要はなかったと思う、10年前の治療法ですね。今ならこの程度の小さな癌なら部分摘出も可能です』とのことでした。ガツンと頭を殴られた感じです。
 そこで「先生、患者としては主治医と180度違うことを言われたら患者はショックで迷いますね」と言うと里見先生は「そうでしょう。ならサードオピニオン、フォースオピニオンを取りどの診断が正しいか自分で確かめることです」と言ってくれます。次の医者はそう簡単に見つからないと言うと「私と同じ大学でない方がよいでしょう」と医師名鑑を示し「この先生は慶応でかなり名が通っています、こちらは慈恵医大で年間数十例の手術をしているので紹介状を書きますか」と言ってくれます。市民病院の対応とは雲泥の差です。 結果私は横須賀共済でサードオピニオンを取りそこで『塞栓術をされていなければ部分摘出できたが今や腎臓が一つ死んでいる状態なので摘出しかない』と宣告を受け2001年メーデーの日に摘出手術を受けました。セカンドオピニオンをとらず塞栓術をしたことが悔やまれたことは言うまでもありません。
 よほど訴えようかと弁護士にも相談しましたが、損害賠償をとるより市民病院の意識改革を議員としてしようと決意し、それから医療NPO、医師、看護師、弁護士とも連携を取りながら市民病院にインフォームドコンセントとセカンドオピニオンの充実を求めるべく2001年の春から議会で迫りました。
意識は本当に変わっているか
 多分に面白くない医師がいたのでしょう。セカンドオピニオンについてポスター掲示をしてほしいとの最初に質問したのが2001年の3月議会です。要求から1年以上(実現するまで何度も質問)たった2002年6月にようやくポスター掲示が実現しました。 しかしセカンドオピニオンに取り組む意識は表現方法に明確に現れています。
 その証拠に今すぐ「うわまち病院」と「市民病院」のHPをご覧下さい。セカンドオピニオンに対する差は歴然としていることに気がつかれる筈です(12月議会で質問し今議会で藤野議員にも再質問してもらいましたので表現を変えるでしょうが何時変えるかもやる気の評価対象でしょう)。
結論-セカンドオピニオンをとりましょう-
 癌を知らされたとき、手術を進められたときは必ずセカンドオピニオンをとることです。(末期の場合も)なお「治療法など詳しくは入院してから説明する」と言う病院がかなりありますが、その場合「セカンドオピニオンをとることもあるので入院前にインフォームドコンセントをお願いします」と頼みましょう。今時この頼みを聞いてくれない医療機関は見捨てた方がよいのですが、そういうときはすぐ私に連絡してください。対応します。 セカンドオピニオンについてお悩みの場合も相談下さい。つまらぬ遠慮をすると私のような目に遭いますよ。
 因みに私は2001年5月末「10年生存率98%」と言われ退院しました。今は混む共済病院から里見先生に移り半年に一度検診を受けていますが何ら問題なく経過しています。なおこの入院中に食道癌が偶然発見されましたがこの時はインフォームドコンセント、セカンドオピニオンを十分に取り結果県立ガンセンターで手術を受けました。3年たつ今、無事に過ごしています。この話はまた稿を改めて報告しましょう。 end

by ichiyanagi25 | 2004-03-19 00:00

<< ■ガンで悩む方へ ■委員会速報  美術館建設予算... >>