2006年 02月 21日
予想を超える米兵の事件/事故数
1月3日に起きた強盗殺人事件について呉東弁護士や永年平和運動をしているKさんからの紹介で私を知ったとのことです。
海老原さんは10年前沖縄で米兵が起こした交通事故により息子さんを亡くされました。今も神戸で高校の教師をされていますが鎌倉に用があったとのことで時間を割いて追浜に立ち寄ってくれました。
海老原さんご自身の経験から米軍が加害者であっても補償には全く不誠実なこと、また防衛施設庁が日本人よりアメリカサイドにたつこと、かてて加えて地位協定が全く主権国家の尊厳を放棄した屈辱的協定であり逮捕権裁判権の問題と共に日本人被害者に対する補償制度を制定していないことがあります。これが犯罪抑止につながらない原因であると、被害者の会を立ち上げ日本人被害者の権利を認めさせる為に裁判を起こし、この10年間に補償を勝ち取っておられます。
そしてご自分のことだけでなく米兵犯罪の被害に遭われた方が泣き寝入りしないように全国を回り、被害者救済と補償制度の確立、そして地位協定の改正を求めて精力的に活動されています。今回も強盗殺人事件でも被害者の息子さんとコンタクトをとられているそうです。
海老原さんの息子さんが亡くなられた事故の模様と米軍の対応、また氏の活動については岩波ブックレットNo554日米地位協定-基地被害者からの告発-(¥440)をお読み頂ければと思います。読みやすくとても参考になります。
海老原さんは緻密な活動をしているだけに資料を豊富にお持ち頂きました。それを拝見するにつけ改めて米兵犯罪の多い事に驚いたしだいです。
私達が暮らす横浜防衛施設局管内でも表のような数字になります。私達が知らされている米兵犯罪は氷山の一角であることが分かりますし、特に沖縄に犯罪、事故が集中していることが分かります。沖縄が海外に進出する前進基地であり兵士の荒くれぶりが現れているようです。事件事故数の多さが分かりましたので関係課長に手渡し、また先日市長にも地位協定改正を求めるよう要請しました。市民代表の市議会としても政府国会に対し意見書を出すなりの対応が必要と思います。
ここ最近の米軍等による事件事故数(防衛施設庁が把握した件数)

資料提供:米軍・軍属による事件被害者の会 *中は公務中 外は公務外
泣き寝入りを見過ごし続ける政府
表をご覧いただくと分かりますが全国に8防衛施設局ある中で沖縄での事件事故発生数は断然トップで全国の5割から6割をしめています。まったく有り難くないのですが我が神奈川県(山梨、静岡を含む)を所管する横浜防衛施設局が2位です。全国の米兵犯罪・事故のうち2割前後が毎年横浜施設局管内で起きています。
次に事件事故に遭われた被害者の補償状況を見てみます。公務中の事故は民事特別法で賠償金が支払われますので、どこの施設局管内でも支払い率は高いのですが、公務外になると極端に低くなっています。横浜局管内の公務外事件事故の中で賠償金が支払われたのは2002年ではなんと365件中1件のみ0.3%、2004年では268件中6件でたった2.2%と言う惨憺たる状況です。これは那覇防衛施設局管内の支払件数より低い数字であることを認識したいと思います。
公務中に犯罪を犯すのは昔と違い、まずいません。賠償制度が確立していない公務外事件・事故で賠償金を勝ち取った人は固い決意の元裁判を起こして日本政府に保証を肩代わりさせたケースが殆どであり、裁判が確定しても米側が支払う率は賠償金額の10%代と、かなり低額で推移しています。
米兵による犯罪事故はこれほどに多く、私達がいつ巻き込まれるかわかりません。政府は早急に地位協定を改正し国民に対する補償制度を確立する必要がありますし、国会議員は議員立法でもよいから早く賠償の議案を上程すべきです。これは安保の是非を超えて自民党国会議員でも国民代表で国会に出ている責務から当然取り組むべき事柄だと思います。本11区から出ている小泉さんにもはっきり伝える必要があるでしょう。
当然横須賀市長や議会は当然賠償制度を強く政府に求める必要があります。市民の皆さんもこの点を注目して下さい。
横須賀市が基地周辺地区安全協議会を立ち上げ
次に横須賀市独自の安全対策について報告します。
佐藤さんの葬儀が行われてから10日ほどたった頃「事件が起きるたびに夜間パトロールしてお茶を濁すだけではだめで、恒久的な安全策を講じるために横須賀市独自の組織を立ち上げるべき」と市民安全課長に申し入れに行きました。
また1月11日のお通夜時、市長の弔問の仕方(松沢知事は私と同じ開始5分前に到着したのに市長は終了間際にやっと到着)はマスコミなどから不興を買っていることも指摘し、「市長自身の怒りが表に出ない性格か何ごとにも人ごとのように感じる。市民代表として市民の安全を守るため小泉政権にも厳しく言うべき事は言い、市民の安全のためにこそ思いやり予算を使うように要求してほしい。」と基地対策課長にも伝えました。
今回の殺害状況が余りに酷たらしく、また9年前にも事件現場近くで黒人3人組による殺人未遂とも言えるひどい強盗傷害事件があり、その残忍さに市もこれまでの対応ではすまないと思ったようです。ほぼ同時期市民団体からの要望もあり早期に協議会立ち上げを決めました。
17日には準備会が開催され町内会等関係地域団体及び被害者15名、国県市行政(防衛施設局、警察及び市から2課長)7名そして米軍2名の計24名の基地周辺地区安全協議会が立ち上がりました。第1回会議は3月29日に行われます。会議は公開ですから是非ご注目頂きたいと思います。
▲ by ichiyanagi25 | 2006-02-21 00:00